成膜加工は、さまざまな分野で活用されています。ここでは、電子機器、自動車、基板・半導体、雑貨・包装の各分野での成膜加工事例を紹介します。
電子機器分野での成膜加工事例といえば、スマートフォンやタブレットなどのタッチパネルディスプレイです。タッチパネルの画面は、指で触れた部分の電気の流れが、静電気などによって変わり、それを感知することで操作できます。そのタッチパネルディスプレイに使用されているのが、導電性に優れた透明の薄膜です。
そのほか、カメラのレンズへの映り込みを防ぐために、「遮光幕」や「反射防止膜」などが成膜されていたり、CDやDVDなどの記録や再生のためにアルミの薄膜が均一につけられています。
自動車も、成膜加工されたものが多く使われている分野です。例えば、スピードメーターや燃料計をはじめとする計器やカーナビゲーションなどの車載ディスプレイ機器を見やすくするために、映り込みを防ぐ反射防止処理や防汚コーティングなどが施されています。
フロントガラスに走行速度やナビなどの情報が映し出されるヘッドアップディスプレイは、高温になると作動しなくなる場合があります。そのため、紫外線や熱線をカットするコーティングをすることで温度の上昇を防ぎます。
このほか、安全で快適な運転のために、ドアミラーやヘッドランプにも成膜加工がされています。
スマートフォン、デジタルカメラ、テレビ、パソコン、洗濯機、LED電球など、さまざまな製品に使用され、私たちの生活に欠かせない半導体。半導体は、導電膜と絶縁膜を何層にも重ねることで形成されています。そして、この薄膜を形成していく工程が、半導体における成膜です。
半導体の成膜方法には、物理的反応を使った蒸着である物理気相成長と原料ガスを化学反応させて蒸着させる化学気相成長があります。
食品包装には、アルミ蒸着フィルムがよく使用されています。スナック菓子や冷凍食品の袋を見るとわかりますが、通常、裏面が銀色になっているものです。アルミ蒸着フィルムは、水蒸気やガスのバリア性に優れ、光や湿気、空気などから食品を守って鮮度をキープしてくれます。
真空蒸着では、アルミのほか、紙やクロスなどとラミネートすることができ、高級感が求められるパッケージに、装飾効果を高める目的で使用されることもあります。
光の反射や映り込みを防ぐ、くもりや結露を防止するなど、機能性を持つ成膜加工フィルムは、アパレル店舗などで見られるショーウィンドウや展示物ショーケース、窓や照明、映像カメラなど多くの場所で活用されています。
店舗や建物で採用される成膜加工技術にはどんなものがあるか、事例や事例に関連する成膜製品の情報をまとめました。