PZTとは、ピエゾ(圧電素子)を利用した薄膜加工のことです。ピエゾには厚さが約数μmの「薄膜ピエゾ」と数十μm以上の「バルクピエゾ」があり、薄膜ピエゾを利用すると、デバイスの小型化や集積化、高精度化、省電力化などの効果が得られます。
ピエゾには、加えられた圧力を電圧に変換し、加えられた電圧を圧力に変換する圧電効果をもつ材料が使われます。その圧電体を薄く形成したものが圧電薄膜です。
PZTを成膜加工する方法は主に3つあります。最も均一性が高いのがゾルゲル法で、ゾル状態の液体を基板に塗布し、加熱・焼成することで成膜します。
次に、高エネルギーのアルゴンイオンをターゲットに衝突させ、衝撃で出てきた物質を基板に付着させるスパッタ法があります。また、有機金属原料をチャンバー内に入れ、化学反応を起こして成膜を行う方法をMOCVD法といいます。これらにもある程度の均一性はありますが、ゾルゲル法と比べるとやや劣ります。
PZTの成膜加工は、MEMSと呼ばれる微小な電気機器システムに用いられます。MEMSはシリコンウエハーなどの上に電子回路やセンサー、アクチュエーターなどを作り込んだ立体的な構造を持つ部品のことです。
MEMSは、自動車やスマートフォン、ワイヤレスイヤホンやワイヤレススピーカーなど、さまざまな製品の中に使われています。スマートフォンでは複数のMEMSが搭載されており、小さなMEMSほど薄型のスマートフォンを作ることができるなど、設計の自由度が高くなります。
MEMSが用いられている製品の代表がスマートフォンです。スマートフォンにはBAWフィルタや加速度センサ・ジャイロセンサ、マイクロフォンなどが搭載されており、その部品にMEMSが使われています。
身の周りにあるさまざまな周波数を持つ電波の中から、スマートフォンが利用する特定の周波数だけの通信を通して他の周波数の電波を除去する、フィルタの役割を果たす部品です。
音を電気信号に変換する電子部品です。従来の携帯電話ではエレクトリックコンデンサーマイク(ECM)が使われていましたが、現在ではほとんどのスマートフォンでMEMSマイクロフォンが採用されています。
スマートフォンの中にある、歩数計測機能で使われる部品です。動きや位置を計測できる複数のMEMSを搭載することで、高精度な計測ができます。