真空成膜技術の一つである「真空蒸着」で、工期の短縮や効率化のために用いられる治具について見ていきましょう。
治具とは、部品や製品の加工・組立をサポートするために用いられる器具のことです。近年では「治具」と定義される器具は多くなっており、身近なものから専門性の高いものまで様々です。
作業の手間を削減したり、品質の統一化や作業難易度の軽減など…様々な目的に合わせた治具が展開されており、用途別で適した治具を導入することが大切です。
成膜加工・薄膜加工における治具は、図面・製品に適したものを用意する必要があります。具体的に以下のような治具が用いられます。
基盤を保持するために欠かせない治具です。基盤形状・寸法、工場環境などによってコーティング治具を使い分けます。
光学薄膜の形成における、真空蒸着装置内部で用いられます。ドーム形状をしており、均一な製膜を行うために欠かせません。
治具の製作とは、既製品ではなくオーダーメイドで必要な要件を抽出し、製作会社に治具を作ってもらうことです。加工・製造している製品の部品や工具の位置に合わせて作られた治具により、製造環境の改善や効率化が期待できます。
治具製作を依頼することで、以下のようなメリットが得られます。
製造工程に治具を導入する目的として、加工時間の短縮があげられます。例えば検査用の治具が用意されていれば、セットするだけで品質検査が可能になるため、格段に検査時間が短縮されます。
他にも、穴あけ加工の中心位置を決める際の治具使用や、大量生産時に機械用の治具を用意するなど、工期短縮のためのツールとして有用です。
治具を用いて加工の位置決めをあらかじめ行うことで、毎回同じ位置に加工物を設置し、加工精度のバラつきを抑えることに繋がります。つまり品質の安定性が大きく向上するのです。
人の手による作業では、作業者のスキルや熟練度によって精度にバラつきが出ますが、治具を導入して機械による加工に統一すれば、作業者の技術や体力に依存することなく、つねに安定した品質での加工・製造が可能になるでしょう。
専用治具を使えば作業者のスキルに依存せず正確に加工・製造が可能になるため、作業の簡易化に繋がります。材料のロスや技術者育成の時間を減らしたり、人的リソースを柔軟かつ効率的に活用できるでしょう。
治具製作にはメリットも多いですが、部品や製品ごとに用意しなければならないため、小ロットの製品では治具の製作コスト自体が負担となり、余計に費用がかさむ可能性があります。大量の治具を管理する手間も発生するでしょう。
実際に治具製作の依頼に対応できる会社として、以下のような会社があげられます。
安達新産業は薄膜加工技術を提供・開発しており、光学フィルターの提案や微細なパターン加工などを得意としています。光学フィルター、薄膜加工に関する問題解決に取り組んでおり、真空蒸着やスパッタリング加工にも対応可能。多くの実績と、豊富な製膜加工のラインナップが特徴です。
安達新産業では、複雑・特殊な形状への蒸着や、蒸着時に発生する「にじみ」「カカリ代」を考慮した上での、成膜加工が可能。治具の設計を社内にて対応しています。パターン化工事に必要なマスクパターンもCADを利用して設計しており、微細な線幅を要求するようなケースにも対応可能です。
ちくま精機は基板の設計・実装・リワークをはじめ、パソコンの組み立てや修理、真空蒸着・の設計・試作・量産など…多岐にわたるサービスに対応している会社です。小ロット・短納期・複雑形状への蒸着など…あらゆるリクエストに応えており、省力化・生産性向上を実現する自動化工程の設計にも取り組んでいます。
ものづくりにおける、全工程を一貫して自社内で対応しているのがちくま精機の特徴。コストの改善や品質向上、生産性向上など…様々な目的に合わせてリクエストに応えます。蒸着設計者が在籍しているため、全て社内製作で試作から治具の製作、蒸着後の部品貼り付けまで対応できます。ミラーコートや撥水コート、ARコートなども対応可能です。